執事的な同居人
「怖かった?」
「…うざかった」
ヘラヘラと笑うコイツにキッと睨みつけてみても、王子はにこやかに笑うだけ。
「別に脅すつもりじゃなかったんだけどね~」
「でも!」っと少し乱れていた私の髪の毛に躊躇なく触れると
「傷ついたのは本当。ミスでももう送らないでね」
優しい手つきで私の頭を撫でた。
だけど私はそれを嫌がるようにその手を弾き返す。
「知らないよそんなの。…私送ってないし」
「じゃあ家の誰かが押して送ったとか?」
(家の誰か……)
王子の言葉にピンッときた。
確かあの時颯太さんが帰ってきてたような…
「…………」
「誰か思い当たりのある人がいるんだ?」
「………いや、いない。」
「なに?もしかして石沢サン一人暮らし??」
「違うよ男の人と……」
言いかけた突如、パッと口を閉じた私。
(社会人と同居しているなんて言えるわけがない…!)
普通に考えておかしいはず!!
血の繋がりもない社会人と女子高生が同居しているなんて大問題だ!!
(友達には言ってしまったけど…)
チラリと目線を王子に向ければ
爽やかな笑顔で「なんて?」と首を傾げるコイツ。
…この男は別だ。広まりそうで怖い。