執事的な同居人






「ただいま~」




家に帰ればいつもあまり見かけないクツがあるから




(颯太さんいるんだ…)




って感づく私。



そう思うと何故か緊張して、


ゆっくりとした足どりでリビングに向かえば




「颯太さん…?」




ソファーに腰掛けて名前を呼ぶとピクッと反応する彼がいた。




「……あ、紀恵さんおかえりなさい。」

「ただいま……」




何故かお互いぎこちなくて、


私はカバンを置きに部屋へと戻る。




(…そういえば)




スタンプがどうとか言っていたな…あの王子。




(まさか颯太さんが犯人?)




なんて思っていれば、




「紀恵さん、ちょっとお話が…」




タイミング良く私の部屋にちょっと入った所で颯太さんがいて、


気まずそうに立っているから




「えっと…なに?」




何事かと思って、首を傾げる。




「昨日の夜、紀恵さんの携帯をちょっとだけ触ってしまって…」




そう言う彼の言葉にピンッとさっき思っていた事が綺麗に当てはまった。




「やっぱり颯太さんだったか…」

「すみません…もしかして、相手の方怒ってました?」

「……いや、怒ってたというか。」




襲われた。そうだ襲われかけたんだっけ私。




「……や、大丈夫だよ気にしなくて」




フッとあの出来事がよぎる。本気で奪われるのかと思った。初をあの裏王子に。




「……もし、何かされたりしたら言って下さい。俺から謝ります。」

「い、いいって!ただのスタンプだけなんだから!」




ハハハッと苦笑いを浮かべる私。




(言えない…!!襲われかけたなんて言えるわけない…!!)



もし言ったとしたら

颯太さんはどんな反応をするんだろう。


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