執事的な同居人
「颯太さん、私ちょっと出掛けてくる。」
少しラフな格好に着替えて、すぐ用意をすると念の為颯太さんに伝えに行く。
「今からですか?」
目の前にいる颯太さんは困った表情を浮かべているけど、多分心配してくれてるんだと思う。
「すぐに帰るよ」
丁度その時、王子から通知がきてその場でパッとひらけた。
『そろそろ駅着くから』
そうメッセージがきていたから
(私も行かないと。)
急ぐように玄関へと向かったのだが。
「?」
突然私の左腕を掴まれて自然と動きが止まる。
「………どうしたの?」
「あ………いや、すみません…なんでもないです。」
振り向けばすぐに手を離してくれたのだが、
(…なんで焦ってるんだろう。)
振り向いた直後に見えた颯太さんは、
見間違いかもしれないけどさみしげな表情を浮かべていて、
なんだか焦っていた。
「何か買ってきて欲しい物とかあったの?」
「いえ……大丈夫です。いってらっしゃい。」
ほんと…なんだったんだろう。
モヤモヤするが私に背を向けた颯太さんに「いってきます」と再びそう言って、王子の待つ駅へと急ぐ。