センセイ
芽
「嶋田いるー?」
「いなーい。」
「ばーか。ちょっと来い。」
文化祭を明後日に控えた
ある日の放課後
城内が教室に来てわたしを呼んだ
「何?」
「パンフレット。みつ折りにすんの手伝え。」
「はーい。」
わたしは城内の頼み事を
絶対に嫌とは言わない
「俺のクラスの委員にやらせてたんだけど、人足りなくてさ。わりーな。」
「良いよ、全然。」
「嶋田は良い子だなー。」
そう言って城内はまた
あの時みたいにわたしの頭を
ぽんぽんって優しく叩く
「…へへ。」
思わず顔が緩んじゃうよ
それを見て城内はまた笑った
「嶋田は俺のこと好きだもんなー。」
冗談で言った言葉なのに
わたしは何も返せなくなった
心の中で
"好きだよ"
って思いながら
城内の横を歩いた