今日も隣の席でぎゅっとして。 ❄

「あ、花火…」

「たーまやー」
 花火に向かって遠くにいる子供連れの両親が声を上げる。

「びっくりしたわ」
 相可(おおか)くんの表情を見る限り驚いたようには見えない。

「もしかして知って…」

「さぁな」
「冬の花火綺麗だな」

「くしゅんっ…」
 わたしはくしゃみをする。

「寒いのか?」
「コート脱げよ」

「え、でも…」

 脱いだら余計に寒いんじゃ…。

「早くしろ」

 わたしはコクンと頷き、灰色のダッフルコートを脱ぐ。
 すると相可(おおか)くんが黒のパーカーを脱ぎ、
 ふわっ……。

 わたしの両肩にかけてくれた。
 その上からダッフルコートを着せる。
< 101 / 585 >

この作品をシェア

pagetop