今日も隣の席でぎゅっとして。 ❄
「あ、花火…」
「たーまやー」
花火に向かって遠くにいる子供連れの両親が声を上げる。
「びっくりしたわ」
相可くんの表情を見る限り驚いたようには見えない。
「もしかして知って…」
「さぁな」
「冬の花火綺麗だな」
「くしゅんっ…」
わたしはくしゃみをする。
「寒いのか?」
「コート脱げよ」
「え、でも…」
脱いだら余計に寒いんじゃ…。
「早くしろ」
わたしはコクンと頷き、灰色のダッフルコートを脱ぐ。
すると相可くんが黒のパーカーを脱ぎ、
ふわっ……。
わたしの両肩にかけてくれた。
その上からダッフルコートを着せる。