今日も隣の席でぎゅっとして。 ❄

 目が合い、わたしの頬が熱くなって泣きそうになる。

 ベランダの手摺りを掴みながら下を見ると、相可(おおか)くんがいた。

 相可(おおか)くんは黒色のダッフルコートを羽織っていて、

 相可(おおか)くんの足の周りを隣の猫が尻尾を立てて、くるくると回ってじゃれている。

 わたしは震えた手でスマホを持ち、耳に当てたまま声を絞り出す。
「なんで…」

『池田から家の住所聞いた』
『会えたな』

 相可(おおか)くん…。

 わたしの両目が潤む。

黒図(くろず)
『何の為に隣になったんだ』
< 192 / 585 >

この作品をシェア

pagetop