今日も隣の席でぎゅっとして。 ❄

 金多(かなた)先輩は姫乃(ひめの)から唇を離して前の扉を見るなり不機嫌な顔をする。

「あ? (ぎん)、邪魔すんなよ」
「てめぇはシチューでも作ってろ」

 (ぎん)はスタスタと歩いてきて、金多(かなた)先輩の胸ぐらをグイッと掴むとそのまま殴り飛ばす。

「きゃっ…」
 姫乃(ひめの)は悲鳴を上げる。

「いってぇ」
 金多(かなた)先輩はペッ、と唾を吐く。

「あーあ。そんなんだからだめなんだよ、(ぎん)
好きな女(ひめの)一人も守れない」

「入学式の時、『俺の(ぎん)になれ』って言ってもお前は拒んだ」
「その結果(つけ)がこれだ」
「俺と仲良くしとけば茨姫(いばらひめ)がこんな姿になることもなかったのに」
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