今日も隣の席でぎゅっとして。 ❄

 姫乃(ひめの)はぎゅっと半分脱がされたカーディガンを掴む。
「…勝手に人の幸せを決めないで」
「私は(ぎん)達といるから」

 金多(かなた)先輩は切なげな顔をする。

「そうかよ」
「気が変わったらいつでも言ってくれ」
「しらけたから行くわ。じゃあな」
 金多(かなた)先輩は前の扉から出て行った。

「…やっぱ、お前の後を追いかけてきて正解だったわ」
姫乃(ひめの)、遅くなってごめん」

 教室の中はしんっとしていて、(ぎん)の声だけが響く。
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