今日も隣の席でぎゅっとして。 ❄

 一筋の涙が流れ、ぽたぽたと(したた)っていく。

 相可(おおか)くんの右隣は、わたしだったのに――――。

相可(おおか)くん、気付いて」
「わたし、ここにいるよ」

 … だめだ。
 聞こえてないみたい。
 わたし、もう、見えてないんだ。

 わたしは俯く。
 するとガタッと音がして誰かが近づいてくる。
 
 …え?
 手?

 わたしは顔を上げる。

黒図(くろず)
 相可(おおか)くんが手を差し伸べながら優しく笑う。

 ぽたぽた、と涙がまるで光のように輝き、(こぼ)れ落ちていく。 

 あ…気づいてくれた。

 わたしは相可(おおか)くんの手をぎゅっと掴んだ――――。
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