今日も隣の席でぎゅっとして。 ❄
そうだ、姫乃ちゃんだ…って、え…。
相可くんが前から駆けてきた。
わたしがドキッ! とすると、相可くんは姫乃ちゃんの片方のシューズを拾う。
「ちょ、拾わなくていいから!」
姫乃ちゃんは恥ずかしそうにそう言う。
相可くんは姫乃ちゃんの足元に拾った片方のシューズを置く。
あ、姫乃ちゃん、片方のシューズ履いた……。
わたしは姫乃ちゃんを知ってる。
そして初めて話したのに分かってしまう。
わたしは相可くんの隣の席になれただけで特別なんかじゃないって。
姫乃ちゃんは相可くんの“特別”だって。
姫乃ちゃんは笑顔を浮かべると綺麗に澄んだ声で言った。