今日も隣の席でぎゅっとして。 ❄

「でも…」
 わたしは震えながらそう声を絞り出す。 

「何? 口答えする気?」
 ゆりちゃんの表情はとても怒っている。

「あ…」
 わたしの顔が青ざめる。

「じゃあ聞くけど、黒ずきん、可愛くなる為に努力したことある?」
「ないでしょ」

 ゆりちゃんは自分の髪に触れる。

「私、毎日超早起きして(ぎん)くんに好きになってもらえるように努力してるし」
「だから普通の黒ずきんが(ぎん)くんの隣なんて相応(ふさわ)しくないって言ってんの」

 わたしは右手にかけた鞄のヒモをぎゅうっと強く握る。

 隣の席譲るまで退かないつもりだ…。
 どうしよう…。
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