今日も隣の席でぎゅっとして。 ❄


「はぁ…寒い」

 ……やっと外出られた。
 強く言わないと土日外に出させてもらえないから。

「あっ」

 猫が隣の家から何食わぬ顔をし、歩いて出てきた。

 ベランダの時よりも毛ふさふさになってる?
 出かけるところかな?

 猫がわたしの視線に気がついたのか、わたしを見る。
 動揺するわたし。

 また、逃げられちゃうのかな。

「…(ぎん)くん」
 わたしは、そう呟いてしまったことに驚き、右手で自分の口を押える。

 わたし、今なんて…。
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