あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
*プロローグ*
——七年前、十一月。

『いつになるかわからないけど、必ず戻ってくる。そしたら奈央を迎えに行く。約束する』

遥がこの町からいなくなるのを聞き、声を上げて泣いた。

こぼれ落ちる涙を、小さな手で何度もこするように拭った。

『泣くなよな。心配で離れられなくなるだろ』

そう言っておどけた表情で私を覗き込む遥の顔は、涙でほとんど見えなかった。


『奈央、よく聞いて』

少し間を置いた後、私の両手を取り真面目なトーンで話す遥に対して、私は頷くのがやっとだった。
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