あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
今朝クラスで配られた、誰がどの種目に参加するかが書かれている紙を広げた。

「澪、結人くんも選抜リレーの選手なんだね」

選抜リレーの枠に結人くんの名前があった。このリレーには澪も出場する。

「私がバトン渡すのが大野だよー。そして大野はアンカーで走る!」

「あっそうなんだ」

スポーツ万能で自慢の彼氏だ。全力で走る姿、かっこいいだろうなぁ。


……あ、遥の名前がある。

借り物競争?……去年こんな種目あったっけ?

「澪、借り物競争って……」

「あーそれ今年からできたんだよ。男子の旗取りがなくなった代わりにね」

旗取り。長めの棒の一番上に旗がついていて、それを早く取ったほうが勝ちという単純なものだ。

迫力があって見応えはたしかにあるんだけど、勢いがすごくて危ない

去年は学校に救急車が来てた。よく知らないけど、たぶん誰かが怪我したんだと思う。

「あの種目、なくなったんだ。急に平和な種目になったね」

「ほんとほんと!あーあ、私旗取り結構好きだったんだけどなー。男の戦い!って感じで!」

「たしかにね。まあ学校側としては安全第一だよね」

それにしても、代わりの種目が「借り物競争」って雲泥の差じゃない?

「それはそうと、借り物競争さ、出たい人が全然いなくって、体育祭委員の大野が伊南王子に声かけたんだって」

なるほど、そういうことか。遥が自分から出るなんて言わなそうな種目だもん。
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