あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
「……奈央、本当にそれが紙に書かれてたと思ってる?」

「結人くん?それってどういう意味?」

私から視線を逸らした結人くんは、明らかにいつもより低めのトーンで話すから違和感があった。

いつもの優しい結人くんじゃない……

「……それ以外になにがあるの?」

「ごめんごめん、そうだよな。俺、奈央のことになるとどうも冷静じゃいられなくなって」

「……結人くん」

「たぶん俺、奈央に触れた伊南に嫉妬してるんだわ。奈央のことが好きすぎるから」

そう言った結人くんは、いつもの結人くんに戻っていた。
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