あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
……つまり、私の模試の結果が良くないということだ。

でも第一志望にしている大学の推薦枠が理系ばかりなので、推薦で行くつもりはない。

いくら学部は選ばないとはいえ、自分が理系の頭ではないことぐらい理解している。

だから一般受験を考え、三年生になってからやっと予備校に通い始めた。スタートにかなり出遅れてしまっていた。

「……最悪浪人かなぁ」

現役で合格できればそれほどいいことはないんだろうけど、今のままでは正直厳しいと思う。

まぁでも、長い人生のうちの一年ぐらい、勉強に費やしたってなんてことはないか。

この高校は毎年浪人する人もざらにいるしね。


部活に勉強、それから今年は文化祭実行委員になってしまったので、九月にある文化祭の準備に追われていて忙しい毎日を送っている。

「……あのさぁ奈央。ちょっと相談したいことがあって」

さっきまで後ろの方で書いていたはずなのに、気づけば彩月が隣にいた。それに、めずらしくそんなことを言い出すから驚いた。

私は筆を置き、正座をしたまま彩月と向き合った。
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