あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
文化祭二日目。昨日の夜は全然眠れなかった。

結人くんとの思い出がよみがえってきて、色々な思いが頭を駆け巡った。

ただ一つ言えることは、結人くんと一緒に過ごした時間は決して無駄じゃなかったということ。

結人くんには感謝の気持ちしかない。私が少しでも成長できたのなら、それは紛れもなく結人くんのおかげだ。


午前中一緒にまわった後、澪には正直に話した。

「澪。私、結人くんと別れたんだ」

あのテンションの高い澪が、目を丸くして声も出せないくらい驚いていた。

「……二人、仲直りしたんじゃなかったの?」

「うん。色々あってね」

「そっかぁ。驚いたけど、二人が決めたことなら、私は何も口出しできないよ」

「うん」

「でも、大野が一方的に奈央を傷つけたんなら、私は黙ってないよ」

「それは違う。別れた原因も私にあって、結人くんは何も悪くない。全部を中途半端にしてた私が悪いの」

……傷つけたのは私のほうだ。

「そっかぁー。奈央と大野、意外とベストカップルだと思ってたんだけどなー。まあ出会いが縁なら別れも縁だよ」

——「別れ」もあれば「再会」もある。不思議な世の中で生きていると思った。
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