あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
保健室の先生には『まだ安静にしていた方がいい』と言われ、私も文化祭を楽しむ気になれなかったので保健室で横になっていた。

後夜祭が終わったぐらいの時間に保健室を出た。

最後の後夜祭は参加できなくて残念だったけれど、今はそれどころじゃない。

遥に気持ちを伝える前に、彩月とちゃんと話しがしたい。


三年生のフロアまで来ると、帰り支度をしたみんなが次々に教室を出て行くのが見えた。

教室に入ると、まだ残っていた澪が寄ってきた。

「奈央!今、奈央の荷物持って保健室行こうとしてたとこだったの。倒れたって聞いたけど、あんたもう大丈夫なの?」

「澪ありがとね。もうすっかり良くなっちゃった。心配かけてごめんね」

「どうした?失恋のショックとか?」

「違うよ。外でビラ配りしてたら脱水症状になっちゃって」

「そっかーかわいそうに。あっそうだ、十九時から打ち上げやるから、大丈夫そうだったらおいで。詳細はラインで送っておくから」

どのクラスもこのあとは打ち上げをするみたいで、みんな浮かれ気分だ。

「ありがとう、行けたらいくね。澪、私ちょっと用があるから先行くね」

荷物を持って急いで隣のクラスを覗いた。

……よかった。彩月、まだいる。
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