あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
「……遥、戻ってきても会いにきてくれないし人気者になっちゃうし」

遥が戻ってきた頃の辛かった日々がよみがえってきた。

「遠い存在になっちゃったから、会いに行きたくても自信がなくて……」

近づきたいのに近づけない。戻ってきたのに嬉しくなくて、会えなかった日々よりも辛かった。

「……遥がいなくなったあともずっと、遥のことだけ想ってたよ。遥は私の初恋で、特別な存在だったから、忘れられるわけがなかった」


「……私は今でも、遥が好き。大好きだよ」

涙で顔はぐしゃぐしゃだったかもしれない。ブサイクと言われても仕方ない。

今まで言えなかった想い。これが私の正直な気持ち。

「今まで辛い思いさせて悪かった。それでも待っててくれてありがとう。それと、奈央の気持ちにも気づかなくてごめん」

遥は優しく、でも力強く私を包み込んでくれた。

その後抱きしめていた腕を離して、私と向かい合った。

「こっちに帰ってきてすぐ、大野や竹内と楽しそうに笑い合う奈央を見つけた」

遥がいない毎日は、自分の中の何か大切な部分が欠けてしまったかのように寂しかったけれど、二人がいてくれたことで自分を保ててた。

「ちゃんと自分の居場所を見つけたんだって思ったら、もう俺は隣にいちゃいけない気がして」

「……お互い、空回ってたんだね」
< 190 / 210 >

この作品をシェア

pagetop