あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
遥は私の両手をそっと握った。

「奈央」

「……ん?」

顔を上げて遥と視線が重なる。

「昔みたいに、また奈央の隣にいてもいい?」

……ずっと望んでいたこと。この言葉が聞きたかった。

「今度は幼なじみとしてじゃなくて、彼氏として、奈央のそばにいさせてほしい」

また涙が溢れてきて、遥の顔が見えなくなる。

「また昔みたいに、遥と一緒に通学したりふざけあったりできるの?」


遥は優しく微笑んで頷いてくれた。

「もちろん」

「もう、……私のこと一人にしない?」

「もう絶対に離さない。いなくなったりもしない。何があっても、奈央のそばにいるから」


遥は一呼吸を置いて、私の目をしっかりと見た。

「これから先もずっと、奈央だけを好きでいる」


——「俺と付き合ってください」

「……付き合うに、決まってるよ」

私はその一言を言うのが精一杯だったけれど、遥は全部わかったかのように、もう一度優しく抱きしめてくれた。

昔とは違う、たくましくて大きい身体。

七年分の思いは、『好き』のたった二文字で伝わることに、どうして今まで気がつかなかったんだろう。

でも遠回りをした分、これからの日々を大切にできる気がした。
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