あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
奈央が幼なじみをどれだけ想っているかなんて、奈央の行動を見ていればよくわかった。


開きっぱなしのアルバム。

外せないストラップ。

窓の外を見る切ない横顔。

思い込んだような表情。


……それでも離したくなかった。


「結人くん!」

笑顔で俺の名前を呼んでくれる奈央のことが、本当に大好きだったから。

奈央が誰を好きでもいい。ただ、自分のそばにいてほしかった。


幸せにするどころか、それが奈央を悩ませて苦しめていたことに気づいていたのに、俺は奈央の優しさを利用し続けたんだ。
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