あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
七年間の空白 ✳︎遥side✳︎
✳︎遥side✳︎

七年ぶりに、小学校四年生まで過ごしたこの町に帰ってきた。

彼女がいるこの町に。


そして今日、この学校に転校してきた。

ここを選んだのは、もちろん奈央に会いたくて。


クラスに入ってすぐ、近くにいた人に声をかけた。奈央のことが聞きたくて。

「ねえあのさ、平田奈央、この学校にいるよね?」

俺の第一声がそんなだったから、話しかけられた人はびっくりしてたけど。

「えっ?あぁ、平田さんと知り合い?隣の一組だけど」

しかも隣のクラス。安堵して少し笑顔になれた。


奈央は昔から成績優秀だった。

この学校がこの辺では一番の進学校だったし、奈央の歳の離れたお兄さんもここに通っていた。

だから奈央はここにいる。そんな俺の勘は当たっていた。
< 21 / 210 >

この作品をシェア

pagetop