あの日に交わした約束は、思い出の場所で。
——そう思えばそう思うほど、余計に忘れられなくなることに気がつけるほど、私は大人じゃなかった。

忘れたいと願いながらもベッドに寝そべりアルバムを開いてしまうし、明日ストラップを探しに行こうとしている。

最近は寝る前にアルバムを一通り見ることが習慣化してしまっている。


「……この習慣もそろそろやめないと」

この先、このアルバムに遥との思い出の写真が増えることはないんだ。


……でも遥が戻ってきて、この先もなにもないってわかったから逆に良かったのかもしれない。

遥がいつまでたっても戻ってこなかったら、優柔不断な私は諦めがつかなくて、遥のことをずっと待ち続けていたと思うから。


……これでよかったんだ。

すぐにはできなくても、少しずつ前に進めたらいい。

今はまだ、それでいい。
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