アンドロイド・ニューワールド
算数の計算も出来ないどころか、最低限の礼儀すら知らないとは。
 
小学校どころか、幼稚園に戻ってやり直すことをおすすめします。

「それは謝罪ではありません。犬か猫にでも謝っているつもりですか?」

と、私は尋ねました。

「奏さんは人間です。人間が人間に謝るとき、そんな軽い謝罪で済ませるのですか。例えば私があなたに、『この頭スカスカのハゲデブクソオヤジ』と蔑んだとき、『悪かったな』の一言で許すのですか?」

と、私は尋ねました。

もしあなたがそれで許すのでしたら、その謝罪でも通用するかもしれませんが。

それが万国共通だとは思わないことです。

「友達同士なら、質の悪い冗談で許されるかもしれません。しかし見たところ、あなたと奏さんは、友人関係ではありません」

と、私は言いました。

友達のノリで軽い謝罪、では済まされません。

「まさか、自分が教師で相手が生徒だから、そんな軽い謝罪で許されるとでも思っているんですか?」

と、私は尋ねました。

すると。

「…」

と、体育教師は無言で、唇を噛み締めていたので。

多分当たりなのでしょう。

自分は教師で、相手は生徒、すなわち子供なのだから、軽い謝罪で済ませられるだろうと。

そんな甘い考えで、よく今まで生きてこられたものです。

「私は以前、人間は皆櫛の歯のようなものだと教わりました。つまり、誰もが等しく、命と尊厳を持ち、互いに敬われる生き物だと」

と、私は言いました。

「あなたは少しも奏さんを敬ってはいません。過失ではなく、故意に相手を傷つける発言をしておきながら、全く反省の色が見えません。恐らくあなたは、自分が今、何故私にここまで追及されているのかさえ、分かっていないのでしょう?」

「…」

と、化学教師は無言でした。

その無言は、恐らく肯定の意でしょうね。

「そして、これまでも何度か、奏さんに今回のような悪質な発言を繰り返したものと推測します。違いますか?」

「…」

と、相変わらず化学教師は無言でした。

が、わざとらしく目を逸らしていたので、やはり私の推測通りなのでしょう。

ついでに言うと、奏さんも俯いていました。

その仕草も、私の推測を裏付ける行為です。

そして、この化学教師は、体育教師と同じく、教師として相応しくないと判断しました。

人類は、今からでも良いので、教師の資格試験の内容を見直すべきですね。

このような人間を、教師という、未来ある若者に物を教える立場に立たせてはいけません。

ここまで言われてもなお、彼は反省するどころか。

自分の何が悪かったのか、何でそんなに怒られなければいけないのか、まるで分かっていないのですから。

人間の感情が分からない私でさえ分かることを、理解出来ないなど。

あなた、本当に人間ですか?

何だか、人型をした新種のオランウータンか何かに見えてきました。

などと言っては、オランウータンに失礼ですね。
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