アンドロイド・ニューワールド
「奏さん。勉強会をしましょう」

と、私は言いました。

「えっ…」

と、奏さんは驚いた様子でした。

そういう反応をされるだろうと、予測はしていました。

「今日は、いつもなら体育館で仮バドミントン部を満喫する日ですが…」

「あぁ…。今日から、試験一週間前だから。部活動はしちゃいけないんだよね」

と、奏さんは言いました。

そういうことです。

文武両道を謳いながら、中間試験を目前に控えると、部活動をさせず勉学に集中させるとは。

言っていることと、やっていることに矛盾があるように思いますが。

ともあれ、今日私達が、いつもの体育館でバドミントンをすることが出来ないのは事実。

つまり、今日の放課後は空いているということですね。

少なくとも、私は。

「奏さんは、本日の放課後は何かご予定は?」

「いや、特には…。図書室にでも行って、勉強しようかなとは思ってたけど…」

「成程。では天秤にかけて選択してください。私と教室で勉強会に参加するか、図書室に行って一人で勉強するか。究極の選択ですね」

「…うん。えーっと…」

「ちなみに私は、今日の放課後に勉強会を開こうと、一晩かけて下準備をしてきました。準備万端です。いつでも始められます。しかし奏さんが図書室を選ぶなら、それは仕方のないことです。それが私の宿命というもの、」

「分かった。分かったから。大丈夫、瑠璃華さんと一緒に勉強会するよ」

と、奏さんは慌てた様子で言いました。

「図書室には行かなくて良いんですか?」

「うん、良い。一人で勉強するより、二人で勉強した方が良いよ、きっと」

と、奏さんは言いました。

しかし、その意見には賛同しかねます。

複数人だと、つい勉強から気が逸れて、余所事を考えてしまう人もいますから。

そういう人はむしろ、一人の方が集中して勉強出来るでしょう。

逆に、奏さんの言う通り、一人より複数人で勉強した方が、互いに教え合って学びやすい、という人もいるでしょう。

奏さんは、果たしてどちらのタイプなのでしょう?

後者だと、私も下準備に精を出した甲斐があるというものですが…。
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