アンドロイド・ニューワールド
「ではまず、この引用文に出てくる登場人物を確認しましょう。誰が主要人物なのかは分かりますか?」

「えぇと…。『ルティス帝国英雄伝』と言えば、主人公のルシファーと、その相棒のルカだけど…。この問題には、あんまり出てきてない…っぽい、かな?」

と、奏さんは自信なさげに言いました。

大丈夫、自信を持ってください。

それは正解です。

「当たりです。この問題文の中に、ルシファーとルカはほとんど出てきません。この文の主要人物は、別の人物です。では誰でしょうか?」

「うーん…。これ?これ人名?この…シャルロット?って言葉…」

と、奏さんは問題文の一部を指差して言いました。

ほぼ正解ですが、少し惜しいですね。

「正しくはシャルロッテですが、ほぼ正解です。そのシャルロッテなる人物が、この節の主要人物ですね」

「シャルロッテさんか…」

「主要人物が理解出来たところで、他に拾える箇所はありますか?まずは話の大筋を理解しましょう」

「えーと…。この文字が人名…シャルロッテさんだってことは…この人が…何て言うか、仕事…?紙の…。紙で仕事をしてる。たくさん…」

と、奏さんは、外国語が分からない人みたいな発言をしていました。

しかし、問題を出題した私からすれば、なかなか良い筋を行っています。

色々間違ってはいますが。

「それから、夜に…え?朝って単語もあるな…。あとはこの単語…病気?これは、シャルロッテさんが病気になったってこと?」

と、奏さんは聞きました。

自分なりに、本文の大筋を理解しようとは努力していることは分かりました。

しかし、段々とズレていっていますね。

ここらで助言をしなくては、このまま間違ったまま、結局解答も間違ったものになってしまいます。

とりあえず、朧気ながらでも、単語を拾えているのは良いことですね。

単語すら分かっていなかったら、まずは練習問題の前に、単語帳の勉強から始めなければならないところでした。

「奏さん。シャルロッテ一人だけに囚われないでください。確かにこの文章の主要人物はシャルロッテですが、もう一人登場人物がいるのが分かりますか?」

「え?もう一人?」

「はい」

「他に登場人物…。…あ、もしかしてこれ?ルシファー?主人公の」

「はい、そうです」

と、私は答えました。

確かにこの文章の主要人物は、シャルロッテですが。

『ルティス帝国英雄伝』の主人公は、あくまでルシファー。

大抵どの部分を引用したとしても、何らかの形でルシファーはくっついてきます。

『ルティス帝国英雄伝』からの出題なら、まずルシファーは何処かに出てくる。

これを覚えておけば、格段に正答率が上がることでしょう。
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