アンドロイド・ニューワールド
――――――…その頃、星屑学園グラウンドでは。




「わ〜広い!広いねぇグラウンド。 いやぁ張り切って一番良い席取っちゃったなぁ〜。さっ、景気づけに『タヌキのマーチ』食べよーっと」

私は、持参したクーラーボックスの中から、タヌキのマーチの箱を取り出した。

このクーラーボックスの中には、今日一日で食べるお菓子がたっぷりと、ついでにお昼ご飯も入っている。

ちなみにお昼ご飯は、生クリームたっぷりのフルーツサンド。

完璧だね。

「きょ、局長…。運動会は、まだ何も始まってませんから…。今からお菓子を食べるのは…」

おろおろしながら、翠ちゃんが止めてきたけれど。

そんな堅いこと、言わない言わない。

「大丈夫大丈夫!今日は記念すべき、瑠璃華ちゃんの運動会の日だよ?遠慮は無し!」

「…局長の場合は、いつも遠慮してない気がします…」

という翠ちゃんの呟きは、私の頭には入ってきていない。

私の身体に入ってきているのは、既にタヌキのマーチだけ。

うん、美味しい。

これがなぁ、何が凄いって、味だけじゃなくて、見た目でも楽しませてくれるところなんだよ。

見て、このタヌキ。白衣着てる。

こっちのタヌキは、もこもこのセーター着てる。

凄いなぁ。たった百円足らずのお菓子の中に、なんて素晴らしい技術が詰め込まれているんだろう。

同じ開発者として、考えた人には一度、ケーキを食べながらお茶したい気分だ。

すると。

「…久露花局長。取り込み中のところ、失礼する」

「…ふぇ?」

何だか聞き覚えのある声がして。

私は、口の中にタヌキのマーチを詰め込んだまま、振り返ってみた。

すると、そこには。

意外な人物が立っていた。
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