アンドロイド・ニューワールド
――――――…さて。

私達生徒一同は、いざ体操着に着替えて、入場門に集まりました。

車椅子の奏さんは、制服から体操着に着替えるのに時間がかかるだろう、と思って。

仲良しの友達として、着替えを手伝いましょうと申し出たのですが。

お茶を吹き出す勢いで驚愕され、そして全力拒否されてしまいました。

遠慮しているのだろうと推測します。

もう少し仲良くなったら、遠慮もなくなり、着替えも手伝わせてもらえるかもしれません。

それはともかく。

これから私達は、入場行進なるものをして、開会式を行うそうです。

入場行進と言えば聞こえは良いですが、私達は観客席の前を、ぐるりと一周歩かされる訳です。

私達は見世物なのですから、これは体の良い、市中引き回しですね。

個人的には気は進みませんが、これが規則なのですから、仕方ありません。

行進についていくのは大変だからと、奏さんは最初、入場行進の辞退を申し出ていたのですが。

そんなもの、問題にもなりません。

なら私が押します、の一言で、奏さんも一緒に、市中引き回しに参加出来ることになりました。

「では行きましょうか、奏さん」

「うん…。ごめんね、これ押させて…」

と、奏さんは車椅子を指差して言いました。

が。

「大丈夫です。死なば諸共、という言葉もあります。友達として、仲良く一緒に、市中引き回しの刑になりましょう」

「し、市中引き回し…?」

「あ、始まりましたよ」

と、私は言いました。

私と奏さんは、クラスの一番後ろをついていきます。

遅れないよう、殿を務めさせて頂きます。
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