アンドロイド・ニューワールド
「連れてきました」

と、私は口に挟んでいたメモ用紙を、審査員教師に渡しました。

「え、ちょ…え?」

と、何故か審査員教師は、驚愕に目を見開いて言いました。

何をしているのでしょう。

時間の無駄なので、早く判定して頂きたいです。

「急いで連れてきたので、早く判定してください」

「え、あ、はい…え、えぇと…」

と、審査員教師は言いました。

そして、戸惑いながらメモ用紙を開きました。

「ね、年配の男性三人…?」

と、審査員教師はメモ用紙を見ながら言いました。

何故疑問形なのですか。
 
「おえっぷ…。ね、年配の男性って…。そ、そんなお題だったの…?」

と、久露花局長は聞きました。

はい。

「二人…はギリギリ当て嵌まる…として、その…もう一人は、明らかに年配ではないように…見えるんですが…」

と、審査員教師は呟きました。

多分、碧衣さんのことですね。

しかし。

「あぁ、そんなお題だったんですね!だったら大丈夫です。僕はこう見えて400歳越えてるし、局長は更に歳上なので!僕歳上が好み、って言うか局長が好みなんですよね〜えへへ」

と、碧衣さんはフォローを入れてくれました。

余計な情報も追加されていましたが、それは横に置いておくとして。

「性別は怪しいですが、一応僕、今は男子生徒として学校に通ってるので、男性にカウントしても良いんじゃないですか?」

「そういう訳ですので、判定をお願いします」

と、碧衣さんと私は言いました。

「え、えぇと…」

と、審査員教師は、私と、私が担いでいる、久露花局長と碧衣さんと紺奈局長を、順番に見て。

「…お、重くないの?」

と、聞きました。

私は判定をして欲しかったのですが、何故重いかどうかを尋ねるのでしょうか。

それは、判定に関係のあることなのですか?

でも、聞かれたからには答えなければなりません。

「重くはありません。私の積載量は、通常モードでも300キログラムはあるので」

「は、はぁ…」

「ちなみに、一番軽いのは碧衣さん、一番重いのは久露花局長です」

「嫌ぁぁぁぁ!私重くない!重くないもん!酷い!」

と、局長は何やら喚いていました。

恐らく、そのチョコレートが原因でしょうね。

とりあえず、久露花局長の主張は、横に置いておくとして。

「それで、判定は?OKですか、NOですか?」

「え、えっと…お、OKです…」

と、審査員教師は言いました。

やけにタジタジの様子ですが、何か不思議なものでも見えたのでしょうか。

ともあれ。

無事OKももらったので、私は堂々と、三人を担いで、ゴールラインを一番に越えたのでした。
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