アンドロイド・ニューワールド
まず、一回戦が行われました。

観察したところ、本当に棒を奪い合う競技のようですね。

グラウンドの真ん中に、7本の棒が置かれ。

いっせーの、でスタートし、その棒を両陣営が奪い合い、引っ張り合う競技のようです。

中には、棒に縋り付くように掴みかかっている生徒もいます。

一本の棒に、何人もの生徒が群がり、力ずくで互いの陣地に引き込む…。

予想通り、熾烈極まりない、危険な戦いです。

これは私も、本気を出さなければならないかもしれません。

戦場において、容赦や手加減は、自身の死を引き起こします。

ならば、最初から全力を出すべきです。

まずは、作戦を練ることから始めましょう。

略奪すべき棒は、7本。

つまり4本こちらが先取すれば、残る3本は敵チームにくれてやっても良いということです。

そして世の中には、先手必勝、という言葉があります。

しかも今回の場合、こちらが勝つには、先に4本を先取しなければなりません。

どうやら、敵陣地に入った棒には、手出しが出来ないルールのようですから。

確実に4本を先取するには、迅速な行動が必要になります。

そして、ここでもう一つ、考慮すべき点があります。

それは、各チームの棒の総獲得数です。

今回の棒奪い戦争では、各チームが第一グループ、第二グループ、第三グループに分かれて、敵チームと争います。

ちなみに、私は第二グループにいます。

一度の対決で争うのは、7本の棒の奪い合いですが。

たまに、決着がつかず、棒がどちらの陣営にも入らないまま、タイムアップを迎えてしまう場合があります。

そういうときは、ドローも有り得ます。

実際私の前、第一グループは、互いに3本ずつ奪い合い、最後の1本は、戦場に残ったまま撤退しています。

現状我々の戦況としては、引き分けの状態な訳です

更に、宣戦布告しているチームは、一つだけではないのです。

赤、青、緑、黄色の、4つのチームに分かれています。

ちなみに、私は青チームに所属しています。

戦いは総当たり戦で、そうなると決着がつかず、何処かのチームと引き分けになる可能性が浮上します。

その場合、最終的なグループの棒の総獲得数で、勝ち負けを決めることとなります。

と、ぐだぐだ長くなってしまいましたが。

とにかく、出来るだけ多くの棒を奪ったら勝ち。それだけです。

私の後に控える、第三グループの負担を少なくする為にも。

第二グループの私達が、戦況を有利なものにしなければなりません。

ましてや、第一グループは、ドローだった訳ですし。

悠長なことをしている暇はありません。

獲れるものは、獲っておかないと。

よって。

スタートを告げるホイッスルが鳴った瞬間。

私は、全力で左側の棒に向かって走り出しました。
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