アンドロイド・ニューワールド
「あ、あぁ〜あ〜…。る、瑠璃華ちゃん、完全にやり過ぎ…」

「す、凄いですね…。あれでも、一応通常モードですよ…」

「…今度帰ってきたとき、瑠璃華ちゃんの通常モードを、もう少し制限した方が良いかな…」

と、久露花局長と朝比奈副局長は、観客席で呟いていましたが。

私の耳には、全く届いていません。

戦争中ですから。

それより、次は3本目です。

私が豪華2本取りをしている間に、他の5本は、熾烈なせめぎ合いになっていました。

5本の内1本は、ほとんど敵陣地に引っ張られかけています。

さぁ、ここは決断を迫られるところです。

あの1本を捨てて、他の4本を奪取することに注力するか。

それとも、諦めずにあの1本を追うか。

答えは簡単です。

私は、手加減をする気はありません。

つまり、1本たりとも、諦めるつもりはありません。

ようは、敵陣地に入り切る前に、こちらに引き戻せば良いのです。

味方兵士は、既に諦めたのか、その1本から離脱して、他の仲間の支援に移ろうとしていましたが。

味方が諦めようとも、私は諦めません。

私は、スライディングダッシュで、棒が敵陣地に入る前に、棒の先端を掴みました。

間に合いましたね。

敵兵士は、完全に網にかかった魚と思い込んでいたのか。

私が食らいついてきたのを見て、驚愕に目を見開いていました。

これはチャンスです。

敵の意表を突き、一時的でも、戦意を喪失させる。

ここぞとばかりに、私はぐいっ、と棒を引っ張りました。

完全に油断しきっていた敵兵は、私が引っ張った勢いに負け、バタバタと前のめりに倒れました。

一気に軽くなった棒を、私は全力ダッシュで自陣に持ち帰りました。

途中、異変に気づいた敵兵が何名か、棒を引き留めようと食らいついてきた気がしますが。

全員薙ぎ倒したので、私の勝ちです。

さて、これで、私は一人で棒を3本奪ったことになります。

更に、味方が1本奪ってくれていたようで、こちらの陣営の獲得数は4本。

既に、勝ち確という訳ですね。

しかし、戦いはまだ終わっていません。

ここからは、第三グループの負担を減らす為にも、出来るだけ多くの棒を奪取する作業に移ります。

掃討戦です。

残る3本のうち、1本は、だいぶこちら側に引き込まれていて、恐らくあれは味方が獲ってくれるでしょう。

では私は、中央付近で熾烈な奪い合いを繰り広げている、残る2本の加勢に向かうとしましょう。
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