アンドロイド・ニューワールド
よくぞ聞いてくれました。

「もし、まだ決まってないんだったら、今度はゆうえん、」

「水族館に行こうと思います」

「…決まってたんだ」

と、奏さんは言いました。

私が答える前に、奏さん、何か言いかけてましたが。

ゆうえん、とは何のことでしょう。聞いたことがありませんね。

とにかく、今回私は、前回のように悩む必要がないよう。

ちゃんと、行き先を決めてから誘いました。

これも大きな進歩です。

「奏さんは嫌ですか?」

と、私は尋ねました。

もし奏さんに異論があるなら、考え直しますが。

大事なのは週末に一緒に出かけることであって、行き先は何処でも構いません。

「ううん、別に嫌じゃないよ」

と、奏さんは答えました。

それは良かったです。

「では、水族館に決まりですね」

「うん。場所は何処にあるの?何処の水族館?」

と、奏さんは聞きました。

奏さんは移動するのに注意が必要なので、勿論、その点は配慮しています。

「移動は、前回と同じく電車を使うつもりです。もっとも、今回は別方向の電車ですが」

「そう」

「建物の中も完全バリアフリーで、奏さんでも問題なく移動可能です」

「分かった。ありがとう」

と、奏さんは言いました。

例には及びません。

「それにしても、水族館か〜…。前回のがインパクト強過ぎて、次は何が来るのか戦々恐々としてたけど…。水族館なら安心だよ」

と、奏さんはしみじみとして言いました。

何が安心なんですか?

「瑠璃華さんも、ちゃんと普通の人っぽいところがあったんだね…」

と、奏さんは更にしみじみとして言いました。

…何だか、間接的に悪口を言われているような気がします。

きっと気のせいでしょう。

とにかく。

「では今週末は、某市にある『見聞広がるワールド 深海魚水族館』に行くということで」

「はい待った。はいおかしい。はいフラグ回収来た」

と、奏さんは三回、はいと言いました。
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