アンドロイド・ニューワールド

…だから？

「だから、俺…瑠璃華さんのことが好きなんだけど」

と、奏さんは言いました。

若干…いえ、かなり赤い顔をして。

…暑いんでしょうか？

最近暑くなりましたからね。

「そうですか」

「瑠璃華さんはその…どうかな。いや、俺みたいな、自分で自分のことも出来ないような人間が、誰かに好かれるなんて思ってないけど…。でも、贅沢を言うなら俺も、瑠璃華さんに好きになってもらいたいと…」

と、奏さんはもごもごしながら言いました。

何故もごもごするのでしょう。はっきり言ってくれて良いんですが。

「はい。私も奏さんのことは好きですよ」

「えっ…。本当に？」

と、奏さんは期待を込めた顔で言いました。

まさか、自分が嫌われていると思っていたんでしょうか。

それは大きな勘違いです。

「何せ奏さんは、私のお友達ですからね。それも、ただのお友達ではなく、親友です」

「…」

「親友が嫌いなお友達なんていません。私も奏さんといると、退屈しませんしね」

「…」

と、奏さんはしばし無言で、しかも拍子抜けしたみたいな顔になっていました。

大丈夫でしょうか。

私がいきなり親友宣言をしたから、戸惑っているのかもしれません。

すると。

「…うん、分かってた。何となく。瑠璃華さんはそうだろうなーって思ってた」

と、奏さんは物凄く遠い目をして、かつ残念そうに言いました。

「私は、何か奏さんの気に障るようなことを言いましたか？」

「ううん…良いんだよ。親友でも…とりあえず、友達以上の関係にはなったってことで…それで納得するよ…」

と、奏さんは力なく言いました。

やっぱり私、奏さんの気に障るようなことを言ったんでしょうか？

分かりません。

ただ、胸の奥の方が、チリチリチクチクと、妙な感じがします。

異物でも混入したのでしょうか。

「でもまぁ、いつか、気づいてくれると嬉しいよ」

「…何にですか？」

「俺が今言ったことについて」

「…？」

と、私は首を傾げました。

理解不能ですが、今でなくても、いつか気づいてくれれば良い、と奏さんは仰ったので。

いつか気づいたときに、また返事をすることにしましょう。