アンドロイド・ニューワールド
「はい。それについてはとても良い報告があります」

『えっ、何々?』

「とうとう私と奏さんは、親友の契りを交わしました」

『…』

と、何故か久露花局長は無言でした。

そして、しばし間を開けて。

局長は、横にいる副局長の方を向きました。

『相手の子、何だか凄く可哀想だよね…。今に至るまで、まだ友達認定とは…』

『は、はい…。で、でも、友達、親友と来たら、その上はきっと恋人になりますよ』

『そうかな…。そうだと良いんだけど…。奏君の為にも…』

と、久露花局長と朝比奈副局長は、ボソボソと会話をしていました。

何の話でしょうか。

『人間交流プログラム』の為に、必要な経過なのでしょうか。

『…そういえば、週末に出かけるって言ってたけど、あれはどうなったの?爬虫類の館…だっけ?』

と、局長は尋ねました。

「はい。行ってきましたよ」

『ほ、本当に行ったんだ…。奏君、爬虫類系大丈夫だったのかな…』

と、局長は呟きました。

爬虫類系大丈夫、の意味が分かりません。

爬虫類の何が大丈夫で、何が大丈夫じゃないのですか?

爬虫類は爬虫類では?

『楽しかった?瑠璃華ちゃん』

と、局長は聞きました。

「私には心がないので、楽しいか楽しくないのかは分かりません。しかし…」

『…しかし?』

「…あのコモドドラゴンとは、是非一戦交えてみたかったですね」

『…凄く満喫してきたようで、良かったよ』

と、局長は言いました。

?私、戦ってみたいとは言いましたが、満喫したとは言ってませんよ?

何故今の私の発言で、私が「満喫してきた」ことになるのでしょう?

「それと、お土産も買いました」

と、私は言いました。

『おっ、お土産?何買ったの?やっぱり美味しいクッキーとか…』

「ニシキヘビのキーホルダーです。奏さんには、ナイルワニのキーホルダーを」

『…何?その、微妙にお揃いとも言えない感じの、爬虫類キーホルダー…』

「とてもリアルに造られていて、今にも動き出しそうですよ。ほら」

と、私は言いました。

同時に、モニターに映るように、ニシキヘビのキーホルダーを見せました。

すると。

『わぁぁぁリアル!ちょ、やめて夢に出てくるから!』

と、局長は言いました。

そして、慌てて両手で目を塞ぎ、キーホルダーを見ようとしません。

全然見てもらえなくて、残念です。
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