アンドロイド・ニューワールド
当然それは喜ぶでしょう。

だって、親友から週末のお出かけに誘われたんですよ?

これまでは、私の方から誘い、奏さんに付き合ってもらっている形でしたが。

今回はなんと、奏さんの方から誘ってくれました。

これは素晴らしい進歩ですね。

「奏さんからお誘いを受けて、私は今胸が高鳴る思いです。いえ、私は『新世界アンドロイド』なので、高鳴るような胸はないのですが。要するに比喩ですね。久露花局長が海外から直輸入した、高級チョコレートを開けるときも、こんな気持ちなのかもしれません。私は今、このような形で局長の気持ちを追体験出来て、とても光栄におもっ、」

「ちょ、ちょっと落ち着こう?瑠璃華さん。気持ちはよく分かったから、ちょっと落ち着こうか」

と、奏さんは慌てた様子で言いました。

おっと、済みません。私としたことが、つい取り乱してしまいました。

「それで、何処に行くのですか?もう決めてるんですか?」

「あ、うん。この間、二箇所の施設に出かけたよね」

「爬虫類の館と、深海魚水族館のことですか?」

「そう、それ」

と、奏さんは言いました。

「それで、あの施設って、チェーン店じゃないけど、両方系列の施設だったでしょ?」

「そうですね」

と、私は言いました。

確か、施設の名前が両方共共通していたはずです。

『見聞広がるワールド』でしたか。

「もしかして、他にもあるんじゃないかと思って、調べてみたら…案の定あったんだよ」

「他にも?昆虫博物館とかですか?」

「…うん。期待してるところ悪いけど、そういう、いかにも危険物がいそうな場所は、ちょっと遠慮したいかな」

と、奏さんは言いました。

残念です。

「代わりに見つけたのが、『見聞広がるワールド 自然の植物園』っていう施設なんだけど…どうかな。興味ある?」

「植物園…ですか?」

と、私は言いました。

植物園とは。ちょっと予想外でしたね。

「あ、無理にとは言わないから。興味がなかったら、別の場所でも…」

と、奏さんは言いましたが。

「いえ、ご一緒させて頂きます。植物園、大いに興味があります」

「そう?それなら良かった。その植物園にね、かなり珍しい植物が展示されてるらしいんだ。楽しみだね」

と、奏さんは言いました。

珍しい植物ですか…。どんな植物でしよう?

超巨大サボテンとか?

成程、戦い甲斐がありそうです。

「分かりました。万全の準備を整えて、サボテンに挑みましょう」

「…うん。何の話?」

と、奏さんは言いました。

ともかくこれで、週末の予定が決まりましたね。
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