アンドロイド・ニューワールド
そして、迎えた週末。

私と奏さんは、いつも通り駅で待ち合わせをした…のですが。

前日の金曜日。

当然、夜明けには待っているつもりだった私に、

「良い?絶対待ち合わせ場所に早くき来ちゃ駄目だから。分かった?これ絶対。友達として約束。良い?また日付が変わる時間に待ってたら、その日はもうお開きだから」

と、奏さんは何度も念押ししながら言いました。

ここまで言われては、午前0時に待っている訳にはいきません。

仕方がないので。

私はちょっと時間をずらして、日の出の時間に、駅に到着しました。

やはり、早めの行動は大事ですね。

急いては事を仕損じると言いますが、後の祭りの方が余程後悔しますから。

それから、荷物。

荷物についても、奏さんは色々と注文をつけてきました。

「良い?もう物騒なもの持ってこなくていいから。今回は植物なんだからね。動かないし、攻撃もしてこないんだから。武器は要らないよ、持って来なくて良いからね。またロッカーに預けるようなことにならないように、絶対だから」

と、奏さんは何度も念押ししながら言いました。

ここまで言われては、いざというときの為の、電動草刈り機を持っていく訳にはいきません。

仕方がないので。

私は、いつものサバイバルナイフと、2リットルペットボトルに入れた除草剤だけを持ってきました。

やはり、念入りの備えは大事ですね。

備えあれば憂いなしと、故人達も言っていましたし。

更に、今日行くのは植物園ということで。

私は今日、ファッションにも気を遣ってきました。
 
今流行りの、空調服を着て来ました。

これ、結構涼しいですね。

更に、万一毒草が身体に触れないよう、全身を覆う、ジャングルでも目立ちにくい迷彩柄のつなぎを着用し。

長靴を履いてバイザーをつけ、ゴム手袋を嵌めました。

更に、口には防塵マスク。

ここまで来れば、どんな危険な植物が相手でも、奏さんを守ることが出来るはずです。

何だかさっきから、始発の電車に乗るであろうサラリーマンや学生の方々が、ぎょっとしたような顔でこちらを見ている気がしますが。

何か面白いものでも見つけたのでしょうか?

私は準備万端で、奏さんを待つことにします。
< 287 / 345 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop