アンドロイド・ニューワールド
と、そんな風に。

私の、アンドロイド生初めての学園生活初日は、特に問題もなく終了しました。

私は意気揚々と、仮住まいのアパートに帰りました。

人間の生活を体験するという理由で、『人間交流プログラム』では、人間と同じように人間の住処で暮らすことになっています。

つまり、学生の一人暮らしですね。

これまで住んでいた、第4局の研究所の私室には劣りますが。

これはこれで、良い部屋です。

キッチン、バスルームのついた、一人暮らし用のワンルームタイプの部屋になります。

キッチンは必要なかったのですが、部屋に備わっているものなので、仕方ありません。

昨晩から、ここに泊まっていますが。

昨晩、右隣の部屋で、深夜まで夫婦が怒鳴り合う声が聞こえてきたり。

左隣の部屋から、若者達が集まって酒盛りをしている笑い声が聞こえてきたり。

私の部屋の真上の部屋から、夜中中下手くそなギターの音が聞こえてきたり。

近くにある線路で、深夜遅くまで、列車が行きつ戻りつする音が聞こえてきたりしましたが。

夜でも賑やかで退屈しない、良い部屋だと判断しました。

そして。

そんな快適なアパートに帰って、まず最初にしたこと。

私は、研究所から持ってきたノートパソコンを取り出しました。

そのパソコンを、少し操作すると。

画面の中に、久露花局長と、朝比奈副局長の顔が映し出されました。

『やっほー、ヘレナちゃん、元気?』

『あの、局長…。今は、瑠璃華さんです』

『あ、そうだった。瑠璃華ちゃん。元気?』

「特に、いつもと変わりありません」

と、私は局長の言葉に答えました。

これが何かと言うと、つまり、定時連絡というものです。
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