アンドロイド・ニューワールド
奏さんの指差す先には、赤やピンクのハイビスカス、ブーゲンビリア、プルメリアなどの、綺麗な花々が咲いていました。

外の花壇も綺麗でしたが、こちらもなかなかのものですね。

鮮やかな赤系の色が、目を惹きます。

「確かに綺麗ですね。案外暖かい地域の植物も、わるくな、」

「え?」

「…」

と、私は無言で、さっと奏さんを庇うように前に出ました。

早速、怪しい植物を見つけたからです。

鮮やかな赤色や、清楚な白い花を見せて、我々を和ませ、油断させた後。

本性を表して来ましたね。なんて狡猾な。

「ど、どうしたの瑠璃華さん?」

「あれを見てください奏さん。青い花が咲いてますよ」

「え?あ、うん。珍しいね」

と、奏さんは言いました。

軽いですね。

「青ですよ?赤やピンク、黄色やオレンジなどが主流の花々を見せておきながら、突然青系の花を見せてくるとは。これは策略です。非常に毒々しいと云わざるを得ません」

「…どういう思考回路してるの…?」

「私が先行して、様子を見てきます。奏さん、くれぐれも気をつけて、ついてきてください」

「大丈夫だって…」

と、奏さんは言いました。

しかし私は油断しません。

周囲を警戒しながら、青い花に近寄りました。

柵の前に、花の説明書きがあります。

ヒスイカズラ、という名前だそうです。

先程のブーゲンビリアやプルメリアと比べると、実に毒々しい色ですね。

花弁の形状からして、「貴様を食ろうてやるわ」的な敵意を感じますね。

これは危険です。

「早急に、この場を立ち去る必要がありますね」

「え、えぇ…。いや、確かに珍しいけど、これはこれで綺麗、」

「次です、次。次に行きましょう」

「あ、あぁ…。折角綺麗なのに、ごめんねヒスイカズラさん…」

と、奏さんは言いました。

敵に情けをかけるスタイルですか。

嫌いではありませんが、しかしあまり舐めプしていると、後で痛い目を見ることになります。

気をつけた方が良いでしょう。
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