アンドロイド・ニューワールド
『人間交流プログラム』では、プログラムの円滑な進行を目的として。
このように、定期的に局長と副局長に、経過を報告することになっています。
実は、『新世界アンドロイド』には、常時脳内から直接、音声会話による研究所との連絡が取れるのですが。
こうしてモニターを通して、対面で会話をする機能はついていません。
従って、対面での会話をするときは、パソコンやタブレット端末を通さなければなりません。
また、脳内からの直接通話も、基本的には、何か特別な緊急事態でもない限りは行いません。
あくまで今は、私は人間として過ごしているので。
どうしても、私一人での解決が困難な事態に陥ったときだけ使用する、緊急連絡網のようなものです。
対してこの定時連絡は、特に火急の用事がなくとも、必ず連絡を取ることになっています。
定時連絡ですからね。
報告することが何もなかったとしても、「報告することは何もない」ことを報告しなければなりません。
『さて、瑠璃華ちゃん』
「はい」
『初めての学園生活はどうだった?楽しかったかな?』
と、局長は聞きました。
楽しい?
それは、非常に人間的な感情です。
「私にそのような感情は認められません」
『え、うーん…。…じゃあ、困ったこととかなかった?』
「困ったことですか?特にありません」
と、私は答えました。
一瞬、一時間目の数学教師の事件と、
昼休み、購買部の場所を教えてもらえなかった件を思い出しましたが。
前者は、単にあの数学教師の理解力が乏しく、かつ短気な性格であったというだけでしょう。
後者は、あれは彼女達なりの愛の鞭、優しさの裏返しというものです。
『そ、そっか…。じゃあ、一番大事なことを聞こう』
と、局長は言いました。
「何でしょう」
『友達は出来た?』
「…」
私は、思わず思考が一瞬止まってしまいました。
珍しく、少し驚いてしまったようです。
局長にとって、その質問が一番大事な質問だったことに対して、驚いているのです。
そんなに大事なことですか、それは?
このように、定期的に局長と副局長に、経過を報告することになっています。
実は、『新世界アンドロイド』には、常時脳内から直接、音声会話による研究所との連絡が取れるのですが。
こうしてモニターを通して、対面で会話をする機能はついていません。
従って、対面での会話をするときは、パソコンやタブレット端末を通さなければなりません。
また、脳内からの直接通話も、基本的には、何か特別な緊急事態でもない限りは行いません。
あくまで今は、私は人間として過ごしているので。
どうしても、私一人での解決が困難な事態に陥ったときだけ使用する、緊急連絡網のようなものです。
対してこの定時連絡は、特に火急の用事がなくとも、必ず連絡を取ることになっています。
定時連絡ですからね。
報告することが何もなかったとしても、「報告することは何もない」ことを報告しなければなりません。
『さて、瑠璃華ちゃん』
「はい」
『初めての学園生活はどうだった?楽しかったかな?』
と、局長は聞きました。
楽しい?
それは、非常に人間的な感情です。
「私にそのような感情は認められません」
『え、うーん…。…じゃあ、困ったこととかなかった?』
「困ったことですか?特にありません」
と、私は答えました。
一瞬、一時間目の数学教師の事件と、
昼休み、購買部の場所を教えてもらえなかった件を思い出しましたが。
前者は、単にあの数学教師の理解力が乏しく、かつ短気な性格であったというだけでしょう。
後者は、あれは彼女達なりの愛の鞭、優しさの裏返しというものです。
『そ、そっか…。じゃあ、一番大事なことを聞こう』
と、局長は言いました。
「何でしょう」
『友達は出来た?』
「…」
私は、思わず思考が一瞬止まってしまいました。
珍しく、少し驚いてしまったようです。
局長にとって、その質問が一番大事な質問だったことに対して、驚いているのです。
そんなに大事なことですか、それは?