アンドロイド・ニューワールド
『それは良かったねぇ、瑠璃華ちゃん』

「はい。これでまた、『人間交流プログラム』の新たな過程に入ることが出来ます」

『確かに。良かったぁ。例の奏君、瑠璃華ちゃんに全然気づいてもらえてなくて、可哀想だと思ってたけど…。無事に、瑠璃華ちゃんの彼氏になれたんだね。安心したよ』

と、局長は言いました。

意味不明です。

「?恋人になったのは、奏さんではありませんよ?」

と、私は言いました。

奏さんは、私の親友です。

恋人、彼氏ではありません。

それなのに。

『…へ?』

と、局長は言いました。

見たこともないくらい、間の抜けた顔で。

「恋人になったのは、三年生の生徒会長です。今日、廊下で『恋人になってくれ』と頼まれました」

『…!?』

「突然のことで驚きましたが、親友に加えて恋人まで出来れば、更に人間の感情を理解出来ると思って、申し出を受けることにしたんです」

と、私は說明しました。

『え…!?嘘…え…!?』

と、局長は驚きのあまり、言葉が出ていませんでした。

更には。

『…』

と、朝比奈副局長もまた無言のまま、絶句していました。

…大丈夫でしょうか?

「…落ち着くときは、深呼吸をすると良いですよ。はい、ひっひっふー」

『…瑠璃華ちゃん、それ呼吸違い…』

と、局長は言いました。

呼吸違い?

『そ、それより!』

と、局長は大きな声で言いました。

「はい、何ですか?」

『彼氏になったの、奏君じゃないの!?誰!?何処の誰!?今までそんな、恋人になるような子はいなかったでしょ!?』

「ですから、先程言った通り、今日いきなり廊下に呼ばれて、『恋人になってくれ』と頼まれたんです」

『急過ぎない!?何その急展開!?』

「私も驚きましたが、私が知らなかっただけで、向こうは私のことを、以前からマークしていたようです」

『あぁ…。瑠璃華ちゃん美人だから、それだけでも一目惚れされる可能性はあるよね…』

と、局長は言いました。

納得して頂けたようで、何より、

『…って、そんな漫画みたいな急展開ある!?』

と、局長は言いました。

納得していなかったようです。

「そう言われましても…。確かに生徒会長がそう仰っていたので…」

『生徒会長!?瑠璃華ちゃんに告白してきたのって、生徒会長なの?』

「はい」

『…』

と、局長は無言で、副局長と目を合わせて、呆然としていました。

…本当に、大丈夫でしょうか?

『…こんなことって、あるの?』

『わ、分かりません…。でも、瑠璃華さんがそう言うのなら、事実なのでは…?』

『そ、そっか…。まぁ、瑠璃華ちゃんは美人だし、頭も良いから…。それだけでも、男の子にはモテるだろうけど…。まさか生徒会長にいきなり告白されるなんて…』

『はい…。にわかには信じ難いですが…。事実は小説より奇なりとも言いますし…』

『う、うーん…。成程、成程ね…』

と、局長と副局長は言いました。

ようやく、納得してもらえたのでしょうか?
< 306 / 345 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop