アンドロイド・ニューワールド
そして、迎えた放課後。

当然のことながら、奏さんはこちらを振り返る前に、さっさと一人で帰宅してしまいました。

こうなっては、私は一人で帰るしかない…と、思っていましたが。

玄関口のところで、私は声をかけられました。

「あ、久露花さん。待ってたよ」

と、生徒会長は言いました。

生徒会長の顔を見るまで、私は忘れていました。

そう、私としたことが、『新世界アンドロイド』である私としたことが。

つい、忘れていたのです。

そういえば今日の放課後は、生徒会長と一緒に帰る予定だったのです。

自分でも、驚いてしまいました。

この私が、物事を忘れるなんてことがあるとは。

『新世界アンドロイド』として生まれてから、初めてではないでしょうか?

それくらい、別のことで頭がいっぱいだったということです。
 
「はい…」

と、私は半ば呆然として答えました。

「よし、じゃ、一緒に帰ろう」

と、生徒会長は笑顔で言いました。

そうでした。

私は、この人の恋人になったんでした。

大事なことなのに、忘れてはいけません。

友達を失った今、私が『人間交流プログラム』を遂行するに当たって、この人の存在は必要不可欠です。

私は今度は、この生徒会長を通して、人間の感情を学ばなければならないのです。

疎かにする訳にはいきません。

「はい。分かりました」

と、私は言いました。

そして、生徒会長と共に、校門を出ました。
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