アンドロイド・ニューワールド
すると。

『どう説明したら良いと思う?翠ちゃん』

と、局長は副局長に意見を求めました。

『そ、そうですね…。友達っていうのは、条件を満たして診断するものじゃなくて、お互い気がついたら、いつの間にか友達と呼び合える関係になってるんじゃないでしょうか』

と、副局長は言いました。

『そう!それ!それだよ!』

と、局長も副局長の意見を支持しました。

ようやく、私も少し理解しました。

最初から、副局長に意見を求めるべきでしたね。

成程、友達というのは、「今日から私とあなたは友達ですね」と確認を取って、友達認定するのではなく。

認定などしなくても、お互い自然に、いつの間にか、友達になっているものなのですね。

しかしそうなると、余計に友達を作るのは困難になってきます。

「それでは、自分は友達だと思っているけど、相手は全然友達だとは思っていない、という事態に陥りかねませんか?」

『うっ…。それは…。確かにそうですけど…』

「一般的に、どのくらい友好関係が築ければ、お互いを友達と認識出来るのでしょうか?」

と、私は副局長に尋ねました。

『そう…ですね、敢えて分かりやすく、条件をつけるとしたら…。やっぱり…こう、一緒にして楽しくて、毎日自然と、他愛ないお喋りをしたり…』

と、副局長は答えました。

『冗談を言い合ったり、秘密を教え合ったり…。無理に気を遣わなくても良くて、一緒にいるのが苦痛じゃない…。そんな相手ですかね…』

と、続けて副局長は言いました。

成程。色々あって、難しいですね。

『でも友達って、定義があるものじゃなくて…。自分が友達だと思ったら、その人は友達と呼んで良いんじゃないでしょうか?』

と、副局長は言いました。

私が友達だと思ったら…ですか。

つまり、私が自分で友達の基準を決め、この人は私の友達だ、と確信したら。

相手がどう思っていようと、その人は私の友達、ということですね。

理解しました。

『そう!そういうことだよ翠ちゃん。私の言いたいこと、全部言ってくれた』

『は、はい。ありがとうございます』

もう、局長は必要ありませんね。

副局長だけで充分です。

『そんな訳だから瑠璃華ちゃん。友達作り、頑張って!』

「保証は出来ませんが、努力はします」

と、私は言いました。

これで明日から、課題が出来ましたね。
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