アンドロイド・ニューワールド
しかも、実にタイムリーな質問でもあります。

いつも一緒に…いたはずなのですが。

今は…。

…。

とはいえ、私が奏さんに接近禁止命令を出されたのは、昨日今日の話です。

それまではずっと、毎日言葉を交わしていたので。

生徒会長にとっては、いつも一緒にいるもの、と思われているのでしょう。

「何でと言われましても…」

「彼氏じゃないんだよね?勿論」

「はい。彼氏ではありません。友人…友人です」

と、私は言いました。

友人…で良いんですよね?そのはずですよね?

まだ…。

「友人ねぇ…。一体どんな経緯があって、あんな人と友達になったんだか…」

と、生徒会長は言いました。

とても胡散臭そうに。

…理解不能です。

「何故彼のことを、『あんな人』と言うのですか?」

と、私は聞きました。

その口調や声音から、生徒会長が奏さんのことを、良く思っていないのは明らかだったからです。

「あぁ、ごめん。別にそういう意味じゃないんだけど…」

「…」 

「聞いたよ。彼の学年って、彼一人のせいで、修学旅行の場所変わったり。彼のせいでクラス対抗リレーで負けたりばっかして、凄い迷惑かけてたんだって?」

「…そのようですね。何が迷惑なのか、私には理解不能ですが」

と、私は言いました。

「個人の視点から見たら、確かに可哀想だと思うよ。彼が車椅子なのは、別に彼の責任じゃないんだし」

と、生徒会長は言いました。

私もそう思います。

「だけど、やっぱり集団から見たら、一人だけに気を遣わなきゃならないっていうのは、大変なことだよ。その一人の為に、集団全てに迷惑がかかるからさ」

と、生徒会長は言いました。

「生徒会に入って、それがよく分かったよ。彼みたいな異端者は、そこにいるだけでどうしても目につくし、特別な配慮も必要だし…。彼がクラスで敬遠されてるのも、仕方ないことだと思うね」

「…」

「でも久露花さんは優しいから、それが我慢ならなかったんだろ?本当優しいよね」

「…何が言いたいのですか?」

と、私は尋ねました。

何となく、これ以上彼の「ご講説」を聞くのが、嫌になってきたからです。

「いい加減、彼に構うのはやめようよ、ってこと」

と、生徒会長は、涼しい顔で言いました。
< 322 / 345 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop