アンドロイド・ニューワールド
それなのに。
「うぅ…。心が痛い。心が痛いよ私は。ヘレナちゃんの毒舌に、思い出しただけで心が痛い…」
と、局長は言いました。
意味不明です。
「副局長の聞き取り調査の結果を聞いても、私には理解出来ません」
「それを理解出来ないところが、君の欠点だよ!」
「意味不明です。私は、全てにおいて事実しか述べていません」
「そういうところ!そういうところだよ!」
何処ですか?
「それに、聞き取り調査の対象が、局長しかいませんでした。聞き取り調査とは、不特定多数の大勢に聞いて、様々な意見を参照するもののはず。聞き取りの対象が局長だけでは、私の欠点を決めつける証拠にはなりません」
「ふっ、そう言うと思ったよヘレナちゃん」
と、局長は言いました。
何故か得意気です。
世間ではこれを、ドヤ顔と呼びます。
「…局長のドヤ顔は、あまり見栄えの良いものではありませんね」
「はい!そういうところ!」
と、局長は言いました。
?
「翠ちゃん!今のも追記!追記して!」
「は、はい」
「そして、他の人から聞き取りした、『ヘレナちゃん毒舌集』を披露して!」
「はい、えーと…。こちらは、第4局の女性局員Aさんから」
と、副局長は言いました。
Aさんというのは、どなたでしょう?
「屋上で昼食を摂っていたところ、ヘレナさんから『馬鹿と煙は、高いところに上りたがります。』と言われたとのこと」
と、副局長は言いました。
思い出しました。
そういえば、少し前にそんなことがありました。
確かに言いましたが、それが私の欠点に繋がるとは思えません。
「次は、男性局員Bさんからの証言です」
と、副局長は言いました。
「新年会で行われたビンゴ大会の景品で、ヘアドライヤーが当たった彼は、ヘレナさんから『毛量の乏しいあなたには、全く必要のない道具ですね。』と言われたとのこと」
そういえば、新年会のときにそんなことがあったような気がします。
確かに言いましたが、実際彼の頭は、既に大した髪の毛が残っていませんでしたから。
そんな彼がヘアドライヤーを入手しても、使い道がないだろう、と妥当な評価をしたに過ぎません。
やはり、それが私の欠点に繋がるとは思えません。
「次は…私、朝比奈翠自身の体験です」
と、副局長は言いました。
副局長も含まれているのですか。
「以前、廊下で…その…恥ずかしくも、躓いて転んでしまったとき、ヘレナさんから言われました」
私は何を言ったのでしょうか。
記憶にありません。
「『世の中には、何もないところで転ぶという謎のスキルを持つ人間がいると言います。副局長のことだったんですね。』と言われました…」
と、副局長が言ったので、思い出しました。
そういえば、そんなことを言ったような気がします。
私は思ったままを言ったに過ぎないのに、何故副局長も半泣きなのでしょうか。
もしかしたら、二人共、涙腺が緩いのかもしれません。
「うぅ…。心が痛い。心が痛いよ私は。ヘレナちゃんの毒舌に、思い出しただけで心が痛い…」
と、局長は言いました。
意味不明です。
「副局長の聞き取り調査の結果を聞いても、私には理解出来ません」
「それを理解出来ないところが、君の欠点だよ!」
「意味不明です。私は、全てにおいて事実しか述べていません」
「そういうところ!そういうところだよ!」
何処ですか?
「それに、聞き取り調査の対象が、局長しかいませんでした。聞き取り調査とは、不特定多数の大勢に聞いて、様々な意見を参照するもののはず。聞き取りの対象が局長だけでは、私の欠点を決めつける証拠にはなりません」
「ふっ、そう言うと思ったよヘレナちゃん」
と、局長は言いました。
何故か得意気です。
世間ではこれを、ドヤ顔と呼びます。
「…局長のドヤ顔は、あまり見栄えの良いものではありませんね」
「はい!そういうところ!」
と、局長は言いました。
?
「翠ちゃん!今のも追記!追記して!」
「は、はい」
「そして、他の人から聞き取りした、『ヘレナちゃん毒舌集』を披露して!」
「はい、えーと…。こちらは、第4局の女性局員Aさんから」
と、副局長は言いました。
Aさんというのは、どなたでしょう?
「屋上で昼食を摂っていたところ、ヘレナさんから『馬鹿と煙は、高いところに上りたがります。』と言われたとのこと」
と、副局長は言いました。
思い出しました。
そういえば、少し前にそんなことがありました。
確かに言いましたが、それが私の欠点に繋がるとは思えません。
「次は、男性局員Bさんからの証言です」
と、副局長は言いました。
「新年会で行われたビンゴ大会の景品で、ヘアドライヤーが当たった彼は、ヘレナさんから『毛量の乏しいあなたには、全く必要のない道具ですね。』と言われたとのこと」
そういえば、新年会のときにそんなことがあったような気がします。
確かに言いましたが、実際彼の頭は、既に大した髪の毛が残っていませんでしたから。
そんな彼がヘアドライヤーを入手しても、使い道がないだろう、と妥当な評価をしたに過ぎません。
やはり、それが私の欠点に繋がるとは思えません。
「次は…私、朝比奈翠自身の体験です」
と、副局長は言いました。
副局長も含まれているのですか。
「以前、廊下で…その…恥ずかしくも、躓いて転んでしまったとき、ヘレナさんから言われました」
私は何を言ったのでしょうか。
記憶にありません。
「『世の中には、何もないところで転ぶという謎のスキルを持つ人間がいると言います。副局長のことだったんですね。』と言われました…」
と、副局長が言ったので、思い出しました。
そういえば、そんなことを言ったような気がします。
私は思ったままを言ったに過ぎないのに、何故副局長も半泣きなのでしょうか。
もしかしたら、二人共、涙腺が緩いのかもしれません。