アンドロイド・ニューワールド
『そっかそっか〜!瑠璃華ちゃんに友達…。嬉しいね!』

と、局長は言いました。

嬉しいのは私ではなく、局長のように見えますが。

そもそも私には感情がないので、嬉しいとか楽しいとか言われても、いまいちピンと来ません。

『同じクラスなの?女の子?』

と、局長は聞きました。

「はい。隣の席の女子生徒と、その友人達です」

『えっ。一人じゃないの?お友達何人出来たの?』

と、局長は聞きました。

私に心はありませんが、心外です。

私に出来た友達は、一人だけだと思っていたのでしょうか。

「隣の席の女子生徒を合わせて、合計四人です」

と、私は答えました。

これが、湯野さんと悪癖お友達の総数です。

『成程…!お友達グループの一員に、加えてもらえたんだね?』

と、局長は聞きました。

「はい、そういうことになりますね」

と、私は答えました。

思春期の女子達は、自分と気の合うメンバー同士を集めて、少人数のグループを作るという統計データがあります。

彼女達は、基本的に学校での活動は、そのグループ単位で行います。

遊びに行ったり、昼食を一緒に摂ったりと。

とはいえ、私はまだ、湯野さんと悪癖お友達一行と遊びに行ったこともなければ。

昼食を一緒に摂ったこともありません。

外出はともかく、昼休みは一緒に昼食を摂らないか、と。

私の方から、誘ったことはあるのですが。

「え?アンドロイドは食べなくて良いんじゃなかったの?」と、断られてしまいました。

これも、彼女達の優しい心遣いでしょう。

私はアンドロイドなのだから、食事の必要はないのだから、無理して食べなくて良いよ、という、

優しい友人を持てて、私は幸せ者です。

『凄い適応力だね、瑠璃華ちゃん…』

『はい。第2局にいる、先にこのプログラムを受けた『新世界アンドロイド』よりも、格段に早いです…』

と、局長と副局長は言いました。

とても感心しているようです。

そうですか。私は、この『人間交流プログラム』を先に受けていた先輩より、適応力が高いのですね。

別に、優劣をつけて愉悦に浸る趣味はありません。

そもそも、この実験を受けているのは今のところ、二人だけなのですから。

どちらかが早くて、どちらかが遅いのは当たり前です。

『それに、女の子のグループは、結束が固いから…。なかなか新参者は受け入れられないんじゃないかな、って心配だったんだけど』

と、局長は言いました。

そんな心配をしていたんですか。

『上手く、グループに入れてもらえたんだね。良かった良かった』

と、局長は言いました。

更に、

『どうかな?お友達と過ごすのは。やっぱり楽しい?』

と、局長は聞きました。

やっぱり、の意味が分かりません。
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