アンドロイド・ニューワールド
…それを、いつまで続ける?

何のことでしょうか。

もしや、私のジョークを本当のことだと思い込んで、すわUFOの襲来か!と驚いたのでしょうか。

それは申し訳ないことをしました。

「大丈夫です、冗談ですから。UFOによる地球侵略は、今のところありません。そしてそんな事態が起きたら、『Neo Sanctus Floralia』が必ず、」

「それだよ、それ。分かってんでしょ?」

と、湯野さんは言いました。

うんざりしたような顔です。

…それ?

分かっているんでしょうと言われても、私にはさっぱり分かりません。

私の理解不足です。

「それ、とは何のことでしょうか?」

「しらばっくれないでくれる?いい加減ウザいんだけど」

と、湯野さんは言いました。

更に、

「そうだよ。電波通り越して、気持ち悪いんだけど」

「私達だけじゃなくて、クラスメイト全員思ってるから。あと、先生達もウザがってるの、気づいてるんでしょ?」

「マジキモいから、その演技。高校生にもなって、いつまで中二病やってんの?馬鹿なの?」

湯野さんの悪癖お友達一行も、続けざまにそう言いました。

これはどういうことでしょう。

とてもではないですが、友達に向ける顔や台詞ではありません。

険悪なムードで、しかも刺々しい言葉のオンパレードです。

体調不良でしょうか?

それとも、機嫌が悪いのでしょうか。

いずれにしても、落ち着いて話し合う必要があります。

「どうか皆さん、気を静めてください。私に至らぬ点があるなら、謝罪します」

と、私は言いました。

自分に非がなくても、怒っている相手にはとりあえず謝っておく。

クレーム対応の基本です。

恐らく、私の理解不足が原因なのでしょうね。

「しかし皆さん、私達は友達です。どうやら私達の間には、認識の差があるようです。ここは腹を割って、」

「それもよ。私達とあんたが、いつ友達だって言った?」

「はい?」

と、私は言いました。

今、何か不可思議なことを言いませんでしたか?

「勝手に友達、友達って…。馬鹿言わないでくれる?私らがいつ、あんたと友達になるなんて言ったよ?」

「そうよ。あんたなんかと友達なんて、冗談じゃないんだけど?」

と、湯野さんと悪癖お友達が言いました。

このときの私の衝撃は、まさに人類がUFOとファーストコンタクトを取ったときのそれに近しいものがありました。

…今のところ、UFOとファーストコンタクトを取ったことはありませんが。
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