アンドロイド・ニューワールド
これらの理論は、『Neo Sanctus Floralia』にいたとき、久露花局長に教えられました。

『Neo Sanctus Floralia』は、この理論に従っています。

その為『Neo Sanctus Floralia』には、役に立たない者は一人もいません。

皆何かしら、役目を与えられ、集団の力になっています。

勿論、『Neo Sanctus Floralia』にいるのは優秀な人物だけではありません。

それでも私達は、組織にいる一人一人の個性と長所、短所を把握し、それぞれに合わせた役目を与えています。

組織には様々な人間がいるのですから、何もかも得意な人ばかりではありません。何かが得意な人もいれば、その分何かが苦手な人もいます。

私達はそれを補い合い、共に助け合い、支え合って組織をまとめています。

今回私が参加している、『人間交流プログラム』もそうです。

人間の感情が分からない、という欠点を持つ私の為に、局長達が考えてくれたプログラムです。

私の欠点を、少しでも改善しようとしてくれているのです。

こいつは使えないから、とハナから除け者にするのではなく。

どうしたら使えるようになるのか、どうしたら少しでも改善出来るかを考えています。

だから『Neo Sanctus Floralia』は、『Neo Sanctus Floralia』たり得るのです。

それが出来ない集団に、未来などありません。

「そのような集団が強豪チームとは。競技には強いのかもしれませんが、人間性は、人間ではない私にさえ劣る脆弱さですね」

「なっ…」

と、体育教師は、相変わらず絶句していましたが。

勝手に絶句しててください。

「はい。言いたいことは以上ですので、これで失礼します。…あ、ラケットとシャトル、お借りしますね」

と、私は言いました。

そして、余っているラケットを二本と、シャトル一個を拝借し。

絶句体育教師を置き去りに、私は車椅子を押して、空いている卓球部の練習スペースに向かいました。
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