アンドロイド・ニューワールド
と、思ったのですが。

「…っと」

と、緋村さんは落ちてきたシャトルを打ち返すことなく、素手でキャッチ。

「何故打ち返さなかったのですか?」

「うん…。ちょっと、さっきの一連の行為をツッコみたくて…」

と、緋村さんは言いました。

理解不能です。

「何今の…。どうなってるの、久露花さんの運動神経…」

「私は『新世界アンドロイド』なので。人間よりも身体を自在に動かすことが可能です。むしろ、これでも通常モードなので、随分抑えています」

「…」

と、何故か緋村さんは無言でした。

何故でしょう。

「それより、ラリーを再開しましょう」

と、私は言いました。

「言ったでしょう?どんなに明後日の方向に打っても、必ず返すので安心してください」

「…分かった。でも、アクロバットして怪我しないでよ?」

「大丈夫です。『新世界アンドロイド』のボディは、人間より強固なので、核爆弾が直撃しても無傷です」

「…」

と、私は言いました。

すると、緋村さんはしばしポカンとして。

そして。

「…ふふっ」

と、緋村さんは笑いました。

二度目ですね。

「何か面白いものでも見えましたか」

「いや…。じゃあ、今度はこっちからサーブ打つよ」

「はい。宜しくお願いします」

と、私は答えました。

そうして、ようやくラリーが始まりました。
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