アンドロイド・ニューワールド
通常のバレーボールのコートは、長辺18メートルですが。

私達が今持っているのは、ソフトバレーのボール。

コートの大きさが違います。

しかし、この際コートの大きさは関係ないですね。

ようは、緋村さんの力で、相手のコートに届くサーブが打てる距離を取れば良いのですから。

「このくらいですかね」

と、私はカラーコーンを横一列に並べながら言いました。

「これは…?」

「ネット代わりです。低くても構わないので、反対側に立ってる私の方に、サーブを打ってください」

「…!」

と、緋村さんはハッとしたように顔を上げました。

「でも…俺、バレーボールのサーブなんて…打ったことがない」

と、緋村さんは言いました。

「見よう見まねで結構です。大丈夫です。明後日の方向に飛んでいっても、必ず私がキャッチしますから」

「…久露花さん…」

「ソフトバレーのボールは、この通り普通のバレーボールのボールよりは柔らかいので、打ちやすいと思います。どうぞ、やってみてください」

「わ、分かった…けど」

と、緋村さんは言いました。

けど?

「何でしょう?」

「本当に、俺…バレーボールとか…サーブとか、初めてだから…下手くそでも、笑わないでね」

と、緋村さんは不思議なことを言いました。

「あなたのサーブが上手かろうと下手だろうと、私にとって愉快なことは何もありません。そして、あなたに対する評価は何も変わりません」

「…」

「ですから、どうぞ安心して打ってください」

「…分かった」

と、緋村さんは頷きました。

そして、いざ見よう見まねて、緋村さんにとって、人生初のサーブが、私の特設コートに飛びました。
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