アンドロイド・ニューワールド
その日の昼休み。

緋村さんは、この日は学校に来る途中で、コンビニエンスストアで昼食を購入してきたと言うので。

私一人で、購買部に昼食を買いに行きました。

そして、購入して戻ってきたとき。

「見てください。今日の昼食は、チョコチップメロンパンと、カレーパンを購入してみました」

「…」

と、緋村さんは無言で私を見上げました。

「まさか、あの有名なメロンパンに、チョコチップを混ぜ込むとは…。人間の発想は、斬新で興味深いですね。もしかして他にも、ジャムメロンパンや、焼きそばメロンパンなんて商品も、存在するのかもしれません」

と、私は感心して言いました。

炭水化物に、炭水化物を挟んだパンを、当たり前のように販売しているくらいです。

最早私は、人類がパンに何を組み合わせようと、驚きはしないでしょう。

梅干しメロンパンとかどうでしょう。今考えました。

何でも、試行錯誤するのは良いことです。

誰か試した方がいたら、是非感想を聞かせて頂きたいですね。

「さて、それでは食べるとしましょうか」

と、私は言いました。

いつも通り、緋村さんと向かい合って。

私はチョコチップメロンパンの袋を開けましたが、しかし、緋村さんの手は止まったままでした。

…?

「…どうかしました?昼食、摂られないのですか?」

と、私は聞きました。

体育の授業で疲れて、食欲がなくなったのでしょうか。

そうだとしたら、無理をさせて申し訳ありませんが。

しかしそれでも、食事はするべきでしょう。

車がガソリンで動くように。

人間のエネルギーは、食物から摂取しているのですから。

すると。

「…あのさ、久露花さん」

と、緋村さんは言いました。

「はい、何でしょう?」

「君は、もう…俺に、構わない方が良いと思う」

と、緋村さんは言いました。

これには、私も驚いて、思わず返す言葉が見つかりませんでした。
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